増田副委員長の講話では、ご自身が入局された「奈良西郵便局」が当時、業務・労務対策が必要な「重点対策局」であり、そういった環境下で直属の上司である集配課長や総務課長との経験により、労働組合役員として育てられたことをエピソード交りに話されました。そこで「業務困難と労務困難は同一であり、問題解決は労使の中で行うものであると培われてきた」とされ、2002年の近畿地方大会では書記長としてこういった答弁をされたことを紹介していただきました。
以下引用。
「まず、労使対立と管理者敵視論に裏付けられた組み立ては、労使関係を想像する物ではなく、関係を破壊するのみで何も生み出さない。葬り去るべきだと考える。考えるあるべき高次な労使関係とは、対立的ではなく、相互に高め合う関係を作り上げることである。郵政事業の健全な発展に向けた方向性は同一であっても、立場の違いから意見の相違が出てくるのは当たり前であり、その意見の相違は一定の緊張感を生み出し、その緊張感ある労使の切磋琢磨が相互を高めあげる関係と考えている。摘発型の運動から、創造型の運動へ飛躍を求めたい。ただし、労使関係はトップの資質、トップの人的要素が大きいとの意見もあるが、そのことは否めない事実である。労使関係は総じて相対的なものであるが故に、相手を変えようと思えば自分も変わらなければならないということが前提である。相手を説得しようと思えば、当然、相手がこちらを信用する関係作りが前提となり、意思疎通ができるものと考える」
12、3年前の「高次な労使関係に向けて」について、近畿地本の考え方ですが、それを基本としつつ、現在、相互のレベルを鑑みたときに、会社のレベルが落ちてきていると論じられました。その根拠として、JPS・宅配便事業統合の失敗、DM汚職を教訓とすべき過去の事例として挙げられ、一方的な会社の責任では無いとしつつも、組合側の主張に耳を傾け双方が切磋琢磨していくことの重要性を訴えられました。
またその上で、今後の「JP労組が描く運動の方向性」については、現段階ではグループ一体性を壊すような考え方や議論はないことを前提に、「複合型労働力構成職場における運動課題」に併せ、「男女共同参画型次世代執行部の創造育成」、「JP Smileプロジェクト」、「退職者の会との連携」、「トール社買収による国際労働運動への対応」とJP労組として将来への課題を抱えつつも「郵政グループの持続的発展と成長」を第一の課題として取り組み、JP労組の役割や使命を果たしていくことが、グループ全体の成長につながる一つの要素になることへの理解を組合員に呼びかけられました。
最後に、2年前の「JP労組第7回定期全国大会」において、労使関係に対する企画局の厳しい総括を受け、小澤委員長が本部企画局に在籍時に、「適切な支部との労使出会いの場の設定」と、管理者の評価観察ポイントに「労使関係の強化に取り組んでいるか?」との項目を追加させた取り組みを紹介し、高次な労使関係構築に向けての講話を終えられました。
ちなみに、以下が第7回定期全国大会での企画局総括です。
「この3年間で職場と組合員の意識はどう変わってきたのかという視点。組合員の求心力の低下というよりは、組合員への不信感の拡大とも言える事態と捉えなければならないのではないか。春闘に於ける一時金が3年連続で低額妥結になったダメージは如何ほどだったのか。また、高次な労使関係論の誤った理解が労働組合の健全なチェック機能の発揮を抑制し、主張すべきことややるべきことを怠らせたことが組合員の求心力を低下させてきたのではないか。職場に於ける杜撰な勤務時間管理、自爆営業の半ば強要、パワハラ的指導、交通事故対応等での見せしめ的叱責等、ゆがんだ職場指導に真っ向から対峙し、是正させる組合活動について、各機関は本気で指導してきたのかどうかを検証しなければならない。」 |